2011年6月15日水曜日

記憶の保存

父が蛍を見に、母と私をある場所に連れていってくれた。

そこは、メディアに決して漏らしてはならないという、地元の暗黙の掟で守られている秘密の場所だった。

初夏の夜に吹く涼しい風。
河を勢いよく流れる水の音。
揺らめくたくさんの幻想的な光。
秘密をこっそり教えてくれた父の、静かだけど活き活きとした声。
空気や温度や湿度も大切に切り取って、心の中にしまっておこう。

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