2010年9月27日月曜日

Kindle

Kindle, originally uploaded by mizutaman55.
机の上に無造作に置かれたこの機械を見た時、それが何なのか、私は全く気に留めなかった事を憶えている。
それは、この機械がiPhoneやiPadのような華やかさとは対照的な、地味でとことん静かな風情を醸し出していたからだ。
というわけで、これが今はまだアメリカのAmazonでしか売られていないという、噂の電子書籍リーダーKindleだということを、私は購入した本人に言われるまで全く気付かなかったのだ。

静と動でいうならば静。
派手か地味かというならば地味。
それは機械や道具というより、物という印象だった。

このKindleで、私は夏目漱石の「坊ちゃん」を読ませてもらった。
ページの下には、普通の本と同様に頁数が表示される。
それと同時に、全体の中でどれだけの割合を読んだのかも正確なパーセンテージで表示されるので、
あの本、どれくらい読んだ?
83%読んだよ。
なんて、物凄く正確な会話をしたりもできる。
因に、写真の画面に表示されているこの絵(この時はたまたまこんなカリグラフィーだった)は、Kindleを放置してしばらくすると出てくるスクリーンセーバー。
放置する毎に毎回違った絵が出てくるので、これを見るのも密かに楽しい。

今回Kindleを使わせてもらってから、私はiPhoneやiPadのあのキラキラした華やかなもので、本を読みたいとは思わなくなった。
私はパソコンやiPhoneの液晶画面を見ていると、自分の意思以外の何かに追われるような、情報を求め続けなければいけないような焦燥感にかられる時がある。
iPhoneに書籍をダウンロードした事はあるが、やはり前述の焦燥感がつきまとい、それは読み心地が悪かった。

読書をする時は、できれば自分のペースで、静かに読み進めていきたいと私は思う。
そんな私にとって、人に本を読んでもらう事だけを目的とするが故に、自分が機械であるという存在感すら消したようなこのKindleという道具は、とても愛しく思えた。
あ、結局また擬人化してしまった。^^;